何もない自分を初めて肯定してあげることができたのは、24歳のときだった。
それまではずっと嫌いだったし、居る価値のない駄目な奴だと思ってた。
周りからも、そんな風に評価されてきたと思ってた。
自己肯定感の低い人、というのが10代から23歳までの自己認識だった。でも、それはごく当たり前のことで、どうしたらそういう状況から抜け出せるのかとか、そんなこと思ったこともなかった。
就職した。
10代のとき以上に、私には何もなかった。
頼る人のいない東京で、一人で暮らして、人間関係も、信頼も、スキルもお金も何も無くて、でも、何とかしてここで生きていかなきゃと、しがみつかなきゃと思ってた。
人に嫌われてもいいから、仕事だけは出来るようになろう。
そんなこと考えながら、日々腹痛と闘っていたような。
自分で自分のメンタルをゴリゴリ削る日々だった。
削れたメンタルに薬をつけることも知らなかった。
ここからの回復は、以前にも書いたカウンセラーの話になるので割愛。
ただ、凹んだ私に空気を入れ、傷口に薬を塗って暖かい毛布をかけてくれる人が、東京にいるということは、ものすごい安心感だった。
人の手を借りつつ、自分で自分に空気を入れ、手の届く範囲なら薬を塗ってあげられるようになったとき、唐突に、自分のことが愛おしくなった。
何もないし、容姿だってひどいし、歯並びも変だし、仕事も出来ないし、それでも、愛おしいと思った。
子供の頃は、何かを手に入れて、容姿も直して、そういうことをしたら自分のことが好きになれるんじゃないかと思ってたけど、そうじゃなかった。
現状をまっすぐ見つめて、それ以下でもそれ以上でもない自分をそのまま受け入れることが、どうやら大事だったらしい。
その後何年かしたら、そこそこ図太い性格の人間が出来上がるから面白いものである。
歯並びは、直しました。